03+1
深い黒瞳が、黒衣の若者を凝視める。
家の中には月の光が滑り込んで来ていた。
まるで祝福するように。
まるで嫉妬するように。
白と黒の麗人の、その思いもかけなかった、そして宿命的ともいえた邂逅を讃えていた。
時は息を潜めるしかなかった。
恥らって退散したかったのかもしれない。
この人達には時間は必要ないのだと・・・・・。
世界はしばし夢を視る。
乳白色に溶け込んだ、朧気な輪郭だけを留めた神々の伝説の夢を。
その夢には終わりがない。
そして始まりもない。
見果てがなかった。
夜霧を含んで吹き込んできた風が、黒衣の若者の髪を嬲る。
澄み切った瞳が白い姿を捉えている。
なにげない、素朴な質問だったのだろう。
日常会話のような・・・。
白い姿は沈黙していた。
たとえ言葉で発しなくても、そこにはどれ程の想いが込められていたことか。
それが黒衣の若者に伝わったかどうかは、解らないが・・・。
メフィストは静かにせつらを凝視めていた。
柔らかな眼差しだった。
そのまま質問には答えずに白い残像をひくように、夜の街へと消えていった。
後には夢の名残りを惜しむような、月の光が破片のように煌いていた。
黒衣の若者は瞼を閉じている。
そのうちにぼそりとした呟きを、透き通るような唇の間から洩らした。
「そろそろぐーたらしているのも飽きたしな・・・、明日からまた仕事に戻るかな」
眼を開けると玄関の扉を閉め、黒衣の美影身は奥の居間へと姿を消していった。
Fin
◆後記◆
この小説 『安息日』 は 一番最初の同人誌 【魔天】 に収めたもので、このシリーズのパロをやるにあたって初めて書いた小説です。 流石に最初のものだけあって未熟な部分も多く、加筆・訂正も随分したのですが、ストーリー展開はそのままにさせて戴きました。
最後までお読み戴きまして、どうもありがとうございました。
今改めて読み直すと何といいますか・・・、いや~恥ずかしいですね。 すごく。 (赤面★) もうドリーム満開っていう感じで、これはいったいどこの妖精の国のお話ですか?、っていうくらい夢見過ぎです。
しかも、砂吐きそうなくらいに甘々だし・・・。 (爆★) 最初のものなので御容赦願えれば、と思います。(^.^;)
私はどうにもせつらというキャラの事が好きで好きで堪まらないらしく、この小説を書いた時はたぶん、こんな斬った張ったの生活ばかりをしているのだけど何か休ませてあげたいというか、普通の人間として暮らせる可能性についてというか、何かそんな事を考えながらこの小説を書いていたのじゃないかと思います。
きっとこんな生活ばかりだと疲れてしまうんじゃないかとも、思ったりして・・・。
(実際にこの同人誌に載せていた漫画 『童夢』では、もう一つの可能性を持った子供のせつら、という設定の御話を描いていました)
まあ、原作のせつら君はもっともっと図太いでしょうし、遥かに何を考えているのか判りませんが・・・。 (^.^)
原作様の『ブルース』も、ここしばらく御無沙汰が続いています。 (2006年3月現在)
そろそろ〈新宿〉に住む魔人達に逢いたいですね。
